6.27.2015

マイナスねじを探せ

スーツケースを売却した金で入手したトイレットペーパーホルダーは一見したところ工業部品のようで筒を通す木製のバーを除けば全て真鍮の鋳造、重量は1kg超という代物。現代の目線で見ればどうかしてるとしか言いようのないコスパ無視の作りこみがビンテージ物の魅力。しかし作りだけでなく売値もどうかしてるし、それを買い求める人間は更にどうかしてる。しかし出物は基本的に一点物であれば、これぞという物が現れたら抑えてしまわなくては仕方ない。古いトイレットペーパーホルダーといえば白い琺瑯のぽてっとしたタイプかデコラティブな曲線を多用したタイプばかりのところに異質なインダストリアルデザインが心に刺さった。
一点物×刺さる=買うしかない。それを配する場所が一生で何度となく目を遣り手を差し伸べる箇所であれば尚のこと。まあ何をどう言ってもいかがなものかという買い物ではあるには変わりないが。

ビスの4点留めで壁に固定する仕様だが、本品は1930年代仏製。
つまりプラスねじが発明されていない頃の製品。であればマイナスねじで留めるのがお約束。
早速マイナスねじを…

ない。
マイナスねじは、ない。

今でもドライバーセットを買えば必ずマイナスドライバーとプラスドライバーがセットになっている。しかしそれを使用すべきマイナスねじはほぼ絶滅に近い状態。
ドイトにもハンズにも金物屋さんにもほぼ存在しない。amazonでも楽天でもMONOTAROでもほぼ見当たらないし、あったとしてもタッピングねじではなくボルト。
改めて身の回りを見回してみても使用されているのは悉くプラスねじで、マイナスねじが使われているのは腕時計くらいのもの。確かに「舐めず外さずドライバーを確実にホールドする」機能は圧倒的にプラスねじの方が優れているので取って代わられるのは仕方ないとはいえ、ここまで徹底して駆逐されているとは気付かなかった。
なのに未だにマイナスドライバーがセットの中で助さん格さんの如く大きな顔をしているのは謎。必要性としては最早うっかり八兵衛レベルじゃんお前。

それはともかく、ねじがなければ壁に留められないので困った※1。何時間かかけて調べまくったが、合わない何サイズかのみ取り扱いのあるアンティーク屋さんが一つ二つあるだけ。あとは米国のホームセンターチェーン、ここはサイズも形状も材質も豊富。腹を括って国際郵便で取り寄せようとする前に念のためヤフオクで調べてみると、正しく合うサイズのアンティークマイナスねじがいいタイミングで出品されている。即座に落札して取り寄せ、無事取り付けを終える。うん、やはりこれにはマイナスねじが似合うな。

ねじも真鍮

落札したマイナスねじは径4mm長さ45mmの皿ネジ10本入り。使用したねじは4本。手元に6本余っているので欲しい方は挙手。

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※1 プラスねじを合わせるのは着物に革靴を合わせるようなもの。

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