9.01.2014

恐怖は日常にこそ

蝉の一生に思いを馳せる方が怖いかも

駆け足で去っていってしまった今年の夏に気が付いた自身の変化。それは


ホラー映画が怖くない


暑くて眠れない夜に少しでも涼が取れるかと思い怖いと評判のホラー映画を片っ端から見まくったが、

全然怖くない。


うーむ。


原因は分かっている。
この歳まで生きると知ってしまうのだ。
幽霊なんかより生身の人間の方がはるかに怖いという事を

実際、自分にとっても乱暴な運転をするタクシーや車道に飛び込んでくる向こう見ずな歩行者の方が余程怖い存在で。理由もなくいきなり生命が危機に晒される恐怖に比べたら、ちゃんとした理由に基づいて、しかも自分の縄張りの中でのみ登場人物をあの手この手で追い回す映画の幽霊なぞ律儀にすら思える訳で。
怖くないもんだからあざとい演出とかおどろおどろしいメイクとか余計なところばかり気になって、なおさら怖くなくなるという悪循環。呪怨とかリングとか、あれ系のホラーは特にダメ。伽椰子も貞子も出オチにしか思えない。子供の頃は怖かったエクソシストとか、今見たらニヤニヤ笑いが止まらないんだろうなあ。朝のラッシュの駅で歯を剥き出さんばかりの顔で肩をぶち当ててくるサラリーマンの方が余程怖い。

昔の写真を見ても「あの頃に戻りたい」とは一度も思った事がない程度には、自身が歳をとる事については悲観的ではない。それでも、ホラー映画の一つも素直に楽しめなくなってしまった角質化した心に気が付くと、歳は取りたくないねえという年寄りくさい台詞が口をついて出てしまう。

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