1.13.2011

倒産リスクは回避できるか

年始早々に会長が逮捕されたアーバンエステートの詐欺事件
会社は実質的に破綻していながら営業社員の口車に乗せられて多額の前払い金を払い込んでしまった被害者多数というこの事件、人事でないというか人事で良かったというか。派手な宣伝をうっているからといって信用はできないといういい見本。

この会社のように明らかに顧客を騙す意図を持って資金を引き出すのは論外としても、建築設計事務所が工事を委託する業者は大抵が中小の工務店で体力は大手ハウスメーカーと比べるべくもなければ、完成までに会社が倒産してしまうリスクはこの不景気下で注文住宅を志す施主にとってやはり人事でない。
といっても上場しているわけでもない町の工務店の財務諸表の開示を要求するのも難しいだろうし、第一そんなものはその気になれば幾らでも粉飾できる。施主としてはアーバン社のようにやたらと前払い金を多く要求する会社はやめておくという消極的なリスク回避しかとれないのかもしれない。

かくいう自分はというと、これがなんと工事開始時に1割、完成後に9割の支払い。
リスク回避という意味もあるが、これは単純に手元不如意だったので。
銀行は家の完成後にしか融資してくれないし、かといって総工費の半分もの資金が手元にある訳がない。高金利のつなぎ融資も気が進まなかったので(おい)、『豪邸を建てる訳でもあるまいし、財務状態が健全ならばこの程度の負荷は問題ないでしょー』と半ば開き直りつつ厚顔にも全額後払いを申し入れた。
おとといおいでと言われたら受け入れてくれる工務店を探すまで。と思っていたら基本OKと。
ただし全額後払いは勘弁してくれとの事なので、手元の金をかき集めて1割ほどを前払い。
残りは完成後の融資金で支払い。
資金繰りに苦しむ中小工務店が多い中、正直かなり無理を言ったという自覚はある。これは恐らく幸運な例。

ここまで極端なオファーはさすがにいい顔はされないのでお勧めはしないが、家はきっちり完成して初めて価値が認められる、逆に言えば完成までは価値はないという当たり前の事実を考えれば、やはり完成までに前払いする費用はできるだけ圧縮しておきたいもの。
家の建築費用は工事開始時に3割、棟上時点で3割、完成後に4割といった三等分の支払いが一般的。なのでこれを超える要求、例えば着工までに総工費の5割を超える資金の払い込みを要求するような工務店は当座の資金繰りさえ苦しいものと見て回避するに越したことはない。

例え損害額を最小に抑えられたとしても工務店が工事半ばにして倒れてしまうのは施主にとって大ダメージであるのには違いない※1
そもそもそのような事態にいたらない工務店を選ばなければならないのだが、工務店の選定は建築設計事務所にお任せとなる場合が多ければ、建築士を選ぶところから既にリスク管理は始まっている。では健全な工務店を選ぶ眼を持った建築士をどうやって見つけ出すか…結局は施主の人を見る眼が全ての始まりになるのかな。あとは運か
なんだこの身も蓋もない結論は。



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※1 住宅完成保全機構などの自衛策で金銭的なダメージはある程度抑える事は可能だとしても、実際にそのような事態に陥れば家が完成するまで施主は生きた心地もしないだろう。家作りを楽しむどころではない。

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